調剤ミスをきっかけに、

もう薬剤師を辞めたい…
そう思って、泣いたことはありませんか?
私自身、調剤ミスで強い自責感に押しつぶされ、「自分は薬剤師に向いていないのではないか」と本気で悩んだ一人です。
それでも今、私は薬局薬剤師を続けています。
それは、気合や根性で乗り越えたからではなく、
● 調剤ミスの原因を整理し、
● 環境と向き合う選択
をしたからです。
私は、
- 自分でできる対策を重ね、
- 人員不足や業務構造といった環境要因を見極めたうえで、
- 異動や転職も視野に入れながら、
自分に合った道を選んできました。
その結果、調剤ミスへの恐怖に支配される日々から抜け出し、少しずつ自信を取り戻し、



「この仕事を続けてもいい」
と思えるようになりました。
この記事では、「調剤ミスで辞めたい」と感じた私が、なぜ薬局薬剤師を続けられているのか。
その過程で考えたこと、実際に行った対策、そして「辞める・続ける」を判断するための具体的な基準を、正直にお話しします。
悩まれている方は、ぜひ最後までご覧ください。


あなたは一人じゃない|調剤ミスで悩む薬剤師の実態


調剤ミスは、決して起きてはいけないのは大前提として、それでも現場では、どんなに注意していても起きてしまうことがあります。
● 鑑査を複数人で行っていても、
● 経験年数が長くても、
忙しさや環境の影響を完全にゼロにすることはできません。
それなのに、ミスをした瞬間から、



・自分は薬剤師に向いていない…
・こんな自分が患者さんに薬を渡していいのか…
・周りはできているのに、自分だけがダメなんじゃないか…
そんなふうに、すべてを一人で背負ってしまう人がとても多いのが現実です。
調剤ミスは「特別な人」だけの問題じゃない
まず知ってほしいのは、
調剤ミスは一部の不注意な人だけに
起きているわけではない
という事実です。
公益財団法人 日本医療機能評価機構が公表している「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」では、毎年10万件を超える報告が全国の薬局から集まっています。
また以下は2024年の調剤における事例の内訳です。
| 調剤ミスの種類 | 件数 |
|---|---|
| 規格・剤形間違い | 3,003件 |
| 計数間違い | 2,456件 |
| 異なる成分の薬剤取り違え | 2,389件 |
公益財団法人 日本医療機能評価機構「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」
この事例からもわかる通り、内容は誰にでも起こり得るものばかりです。



それだけ多くの現場で起きているということですね
「辞めたい」と思うほど追い込まれる人は、あなただけじゃない
多くの薬剤師が調剤ミスをきっかけに、



もう辞めてしまいたい…
と思ったことがあると思います。



私もそうです
これは、
● 健康を預かる責任の重さ…
● 患者さんへの罪悪感…
● 職場の空気…
● 再発への恐怖…
そういったものが一気に押し寄せるからです。
誰かに強く責められなくても、自分自身が一番自分を責めてしまう。
その苦しさは、経験した人にしかわかりません。
だからこそ、今あなたが感じている
- 「怖い」
- 「情けない」
- 「もう無理かもしれない」
という気持ちは、決しておかしいものではありません。
実際の声|調剤ミスで悩む薬剤師たちの告白


ここからは、同じように調剤ミスで悩む薬剤師たちのリアルな声を紹介します。
■調剤ミスで辞めたい
■調剤ミスが与えるストレス
■このままでいいのかという不安
このように、少し調べただけでも、調剤ミスをきっかけに強く悩んでいる薬剤師は決して少なくありません。
ミスをしてしまうと、
● もう薬剤師を辞めたい…
● 自分はこの仕事を続けていいのだろうか…
● 患者の命を預かるプレッシャーがつらい…
と感じてしまう人が多く見受けられます。
ですが、あなたがそう感じるのは自然なことです。
薬剤師の多くが同じ経験をしており、これは能力の問題ではなく、責任の重い職業だからこそ生じるストレスなのです。
私が「もう無理」と思った瞬間|調剤ミスで心が壊れかけた日々


ここからは、私の実際に合った調剤ミス経験談を紹介します。
結構長いですが、きっと「自分だけじゃない」と思えるはずなので、ぜひご覧ください。



飛ばしたい方は『こちら』から
ミスを起こす前の私の状況
これは、私が薬剤師2年目頃に経験した出来事です。
私の所属店舗は、限られた人数で、調製の多い処方に対応する、常に気の抜けない環境でした。
当時所属の店舗情報は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 薬剤師 | 2名 |
| 事務スタッフ | 3名 |
| 1日の処方箋枚数 | 約60〜80枚 |
| 患者層 | 小児患者が多い |
| 処方の特徴 | 粉・水剤などが多い |
ご覧の通り、忙しい店舗でスタッフ全員が常に疲弊していました。
そこで、上司に人員の増員を何度か願い出ましたが「人員不足で難しい」の一点張り。
環境改善は見込めない状況が続いていました。
調剤ミスの発覚
そんな中で起きたのが、アンヒバ坐剤100をお渡しすべきお子さんに、誤ってアンヒバ坐剤200を交付してしまったというミスです。
気づいたのは、数時間後。
別の患者さんの処方でアンヒバをピッキングした際に、



「あれ?」
という違和感を覚え、確認したことで発覚しました。
すぐに患者さんへ連絡を取り、間違いがあったことを説明し、謝罪し、薬の交換を行いました。
幸い使用される前に交換できましたが、保護者の方から



「もしうちの子が死んだら、どう責任を取るつもりなんですか?」
とお言葉をいただき、ただひたすらに誠心誠意、謝罪することしかできなかったことを覚えています。
発生時から私の頭の中では、
● 使用されていたらどうなっていたのか…
● 健康被害が出ていたかもしれないという恐怖…
● 訴訟に発展するかもしれないという不安…
● 家族に迷惑がかかるかもしれない…
● でも一人で抱えきれない…
という考えが、不安・絶望の感情とともにぐるぐると渦巻いてきました。
そして何より、規格間違いという基本的なミスすら防げなかった自分への情けなさ。
そうした感情が一気に押し寄せて、



「もう薬剤師を辞めたい」
心の底から、そう思いました。
それでも、翌日になればまた仕事は始まります。
気持ちを整理する時間もなく、平然と業務をこなさなければならない…。
今振り返っても、あのときの私は精神的にかなり限界だったと思います。
”心のSOS”を無視しないようにしましょう。
(私は無視して大変なことになりました)
□ 出勤前に体調不良(吐き気・頭痛・腹痛)
□ 夜、仕事関連の悪夢で目が覚める
□ 「消えたい」「死にたい」と考えることがある
□ 2週間以上、楽しいと感じることがない
□ 家族や友人に「顔色が悪い」と言われる
□ ミスをしていないのに「またミスした」と錯覚
□ 休日も仕事のことで頭がいっぱい
□ 「薬剤師を辞めたい」と毎日考える
これらに加えて、原因が環境要因にある場合は、異動や転職を今からでも検討することをおすすめします。
私が立ち直れた転機|調剤ミスのトラウマを乗り越えたきっかけ
ここからは、私がこの調剤ミスの絶望から立ち直れた転機を紹介します。
「転機」と書きましたが、正直に言うと”翌日から何事もなかったかのよう”に立ち直れたわけではありません。
一番大きかったのは、時間が経ったことだと思います。



大した解決法じゃなくて申し訳ありません…
ただし、何もせずに耐えていたわけではありません。
仕事中は、ミスのことを考えないようにするのではなく、
目の前の一つひとつの業務に、いつも以上に集中する
ことを意識しました。
そうすることで、別のことに集中している間は、不思議とミスの記憶はよみがえりませんでした



人は同時に複数のことを深く考えることはできないのだと思いました
そうして時間が経つにつれ、感情に飲み込まれていた出来事を、少し距離を置いて振り返れるようになりました。
改めて考えてみると、人員不足の中で常に緊張を強いられる職場環境こそが、大きな要因だったと感じるようになりました。
人員増員が難しいことは事前に分かっていたため、
- 自分でできる対策を続けながら、
- 異動を申し出
を実施しました。
その結果、意外にも異動はすんなり通り、対策を継続することで、調剤ミスやヒヤリ・ハットは大きく減少しました。
それとともに自信も少しずつ戻り、今ではあの出来事を、薬剤師としての一つの経験として受け止められています。



私の経験談が少しでも役立てたら幸いです
【診断チャート付き】調剤ミス後に辞める?続ける?最初に確認したい判断基準


調剤ミスを経験したあと、



もう辞めたほうがいいのかも…
そう悩むのは、とても自然なことです。
そこでこの章では、調剤ミスの原因が
● 「自分で改善できるもの」なのか、
● 「自分ではどうにもならない職場環境によるもの」なのか
を切り分けるための診断項目を用意しました。
いくつかの質問に「はい/いいえ」で答えていくだけで、判断のヒントが見えてきます。
ぜひ一度、チェックしてみてください↓
ミスの原因を具体的に(配置ミス、入力ミスなど)説明できますか?
職場には、ミスを防ぐ「仕組み(監査システムや設備)」が整っていますか?
ミスを報告したとき、上司は「対策」を一緒に考えてくれましたか?
「またミスをするかも」という恐怖で、朝起きるのが辛いですか?
📊 診断結果:あなたへの処方箋
調剤ミスによくある原因


ここからは、調剤ミスでよくある原因を紹介していきます。
原因を探ることで、
● 「なぜ起きたのか」
● 「自分だけの問題なのか」
が整理され、これまで漠然と抱えていた不安や迷いがスッキリするはずです。
ぜひご覧いただき、自分に当てはまる原因を探してみてくださいね。
原因が【環境要因】にある場合は、自分では解決が難しい場合も多いので『後述』の対策をご覧いただくことをお勧めします。
- 確認手順の「省略」と「思い込み」
- 「焦り」と「マルチタスク」による集中力低下
- 疲労・体調不良による注意力低下
- 「認知の歪み」|ネガティブ思考がミスを引き寄せる
- 経験・知識不足|成長途中で起きやすいミス
- 【環境要因】人手不足による業務過多
- 【環境要因】物理的環境の不備
- 【環境要因】組織文化の問題
- 【環境要因】人間関係のストレスが集中力を奪う
確認手順の「省略」と「思い込み」


以下に当てはまるものが多い場合、
□ 「いつもの薬」だと十分に確認しない
□ 「前回と同じ」と決めつけ、薬歴を見直さない
□ 監査時に「たぶん合っている」と流してしまう
□ 忙しさから、ダブルチェックを省略する
□ 疲労がたまると、確認が雑になる
など、思い込みにより注意力が落ちやすい状況にあると考えられます。



言われなくても理解しているし、実行できているよ
と感じる方もかもしれません。
ですが、実際の現場では、追い込まれた状況ほど、誰でもこうした行動を取りやすくなるのが現実です。



ここは機械的に抑えておくだけで、基本的なミスは大きく減らすことができます!
「焦り」と「マルチタスク」による集中力低下


以下のチェックに当てはまる場合、調剤ミスの原因はタスク管理にある可能性があります。
□ 調剤中に電話対応をしている
□ 患者さんの待ち時間が気になり焦る
□ 「早く終わらせなきゃ」と思いながら調剤している
□ 複数の処方箋を同時に進めている
□ 薬歴入力をしながら調剤している
焦りやマルチタスクは、注意力を大きく低下させる要因です。
こうした状態が続くと、ヒヤリ・ハットや調剤ミスが起こりやすくなります。
疲労・体調不良による注意力低下


疲労や体調不良による注意力の低下が、調剤ミスの原因になっている可能性もあります。
□ 睡眠時間が6時間未満
□ 朝食を抜くことが多い
□ 休憩なしで6時間以上働いている
□ 連勤が続いている(週6日以上)
□ 残業が多い
□ プライベートで強い悩みがある
心身が限界に近い状態では、どれだけ注意していても判断力は確実に落ちます。
これは、
● 気合
● 責任感
の問題ではなく、誰にでも起こり得る生理的な反応であり、調剤ミスにつながりやすい大きな要因の一つです。
「認知の歪み」|ネガティブ思考がミスを引き寄せる


思考のクセそのものが、調剤ミスの原因になっている可能性も存在します。
□ 「またミスしそうだ」と毎日考えてしまう
□ 「自分は薬剤師に向いていない」と感じる
□ 実際には問題がないのに「ミスしたかも」と不安になる
□ 過去のミスを何度も思い出してしまう
□ 「次は絶対にミスできない」と強いプレッシャーを感じる
これは心理学で「予期不安」と呼ばれる状態です。



「ミスするかもしれない…」
と強く意識するほど、緊張が高まり、結果として注意力が下がり、本当にミスを起こしやすくなります。
「ミスが怖い」
→「不安が強まる」
→「集中力が落ちる」
→「ヒヤリ・ハットやミスが起きる」
→「さらに不安になる」
こうした負のループに入ってしまうと、努力や気合だけでは抜け出しにくくなります。
経験・知識不足|成長途中で起きやすいミス


新人薬剤師の方や、調剤経験が浅い場合、経験や知識不足が原因になっている可能性があります。
□ 新薬の情報についていくのが大変
□ 疑義照会すべきか迷うことが多い
□ 薬剤の相互作用をすべて把握しきれない
□ 監査手順が自己流になっている
□ 最新の医療安全対策を十分に知らない
ただしこれは、最も改善しやすい原因でもあります。
知識が浅い時期に失敗やヒヤリ・ハットが増えるのは自然なことです。
経験を積み、学びを重ねることで、比較的早い段階で改善していくケースが多い要因でもあります。



本記事の「調剤ミスの対策」も合わせてご覧ください!
【環境要因】人手不足による業務過多


人手不足は、調剤ミスの中でも最も影響が大きい原因の一つです。
いくら自分が気をつけていても、周囲に十分な人手がなければ、
- 調剤以外の業務もすべて抱え込む
- マルチタスクが増える
- 集中力が分断される
- 患者さんからの重圧も重なる
- 焦りやプレッシャーが強まる
といった状況になり、ミスが起こりやすくなります。
このような状態は、個人の努力だけで解決するのは非常に難しいため、
● 異動
● 転職
といった「環境を変える選択」を考えることも現実的です。
詳しく知りたい方は『後述』をご覧ください。
自分の店舗が本当に人手不足かどうかは、他の店舗の状況を聞いてみると分かりやすいです。
人手不足かどうかは、処方箋枚数や人数だけでなく、
● 処方内容の重さ
● スタッフの経験・スキル
などによって大きく異なってきます。
そのため、大型チェーンであれば、まずは内情を調査しやすい他店舗の状況を知ることから始めてみましょう。
【環境要因】物理的環境の不備


設備や作業環境そのものが、調剤ミスを誘発している可能性があります。
□ 調剤スペースが狭い(ファイルなどが散乱)
□ 照明が暗く、文字やラベルが見えにくい
□ 調剤・監査支援システムが導入されていない
こうしたシステム的な問題から、調剤ミスのしやすさを上げている場合も多いです。
しかし、設備面の改善は一般職員では難しいことが多いのが現実です。
そのため、
● 類似薬が隣り合わないよう配置を変える
● 鑑査台や調剤台を整理する
といった、今ある環境の使い方を工夫することで、ミスのリスクを下げられる場合もあります。
まずは、
● 自分で変えられる範囲
● 環境を変えないと難しい部分
を切り分けて考えてみましょう。
【環境要因】組織文化の問題


職場の組織文化が、調剤ミスを生みやすい原因になっていることもあります。
□ ミスした人を公開の場で叱責する
□ 「注意すれば防げる」と精神論を押し付けられる
□ ヒヤリ・ハットを共有する仕組みがない
□ 疑義照会をすると嫌な顔をされる
このような職場では、個人がどれだけ努力しても限界があります。
なぜなら、ミスを正直に共有できない環境では、
次第に「ミスを隠す文化」が生まれてしまうからです。
その結果、小さなヒヤリ・ハットが見過ごされ、より大きな事故につながるリスクが高まります。



真面目で、責任感の強い人ほど、企業体質の合わない職場では心身をすり減らすだけです。
この場合は、できるだけ早い段階で異動や転職といった「環境を変える選択」を考えることをおすすめします。
職場を変えることで、
- より安心して業務に向き合える
- 前向きに成長できる仲間と働ける
- 年収や働き方が改善する可能性
など今の職場では見えなかった利点をたくさん得ることができますよ。
【環境要因】人間関係のストレスが集中力を奪う


調剤ミスの原因として職場の人間関係によるストレスも注意力を大きく低下させる要因の一つです。
例えば、
● 常に誰かの機嫌を気にしながら働いている…
● 質問や確認をすると、嫌な顔をされる…
● 調剤室内が常にピリピリした空気…
● 気が休まる時間がない…
● ミスをすると責められるが、フォローはない…
こうした環境では、



間違えないようにしなきゃ…
という意識が強くなりすぎて、本来向けるべき確認作業への集中力が削がれてしまいます。
もし、調剤ミスが続いている背景に「人間関係による緊張や萎縮」があると感じるなら、
それはあなたの能力の問題ではなく、環境の問題かもしれません。
調剤ミスを減らす対策


ここからは、
● 家でも実践できるもの
● 職場で取り組めるもの
調剤ミスを減らすための具体的な対策を紹介していきます。
すべてを一度に完璧に行う必要はありません。
今の自分や職場の状況に合うものだけ、できそうなところから取り入れてみてください。
ミスを受け入れ、わからないままにしない|調剤ミスを減らすための土台


調剤ミスを減らすために、テクニックやチェック方法ももちろん大切ですが、その前提として欠かせないのが、ミスを正しく受け入れる姿勢です。
ミスをすると、…



恥ずかしい…
怒られるかもしれない…
できないと思われたくない…
そんな気持ちから、分からないことを聞けなくなることがあります。
ですが、分からないまま進めることこそが、最も危険な状態です。
● 疑問をその場で確認する
● 曖昧な理解のまま調剤しない
● 少しでも違和感があれば立ち止まる
これらは弱さではなく、患者さんの安全を守るための行動です。
ミスを受け入れ、分からないことをそのままにしないという姿勢があるだけで、調剤ミスの多くは「大きな事故になる前」に防ぐことができます。
ゼロベース確認法|「思い込み」を排除する





たぶん合っている
という思い込みを減らすだけでも、調剤ミスのリスクは大きく下げることができます。
とはいえ、「次からは思い込まないようにしよう」と意識するだけでは、現場ではほとんど変わりません。
そこでおすすめなのは、
意識ではなく行動にルールを作ること
です。
例えば、
● 確認するときは、必ず声に出しながら行う
● 目視だけで終わらせず、チェックを入れながら進める
● 一工程ごとに、必ずチェックが入る仕組みにする
といった自分なりの”作業を伴う確認ルール”を決めておきます。
こうして作業の流れに組み込んでしまえば、



全部確認しなきゃ!
と常に意識していなくても、手順として自然に確認が完了する状態を作ることができます。



仕組みで解決するということがポイントです!
焦りをリセットする|判断力を取り戻すための対策


焦りが強い状態では、確認すべきポイントが見えていても、



早く終わらせなきゃ…
という思考が優先され、本来できていた確認が抜け落ちやすくなります。
ここで重要なのは、焦りを感じた瞬間に立て直す行動を決めておくことです。
具体的な対策は、以下の3つです。
焦りを感じたら、
- まず手を洗って一度その場を区切る
- 業務の妨げにならない程度に、ゆっくり深呼吸
- 急かされたときほど「早さよりも安全を優先している」と意識的に言語化
と実行することです。
そうすることで、
- 感情に引っ張られなくなる
- 冷静な判断がしやすくなる
- 確認作業を「取り戻す時間」を作れる
- 焦りによる”思い込み”や”確認の省略”を防げる



焦りは、コントロールできる状態に戻すことが、ミス防止につながりますよ。
マルチタスクを減らす|集中できる作業環境を作る


調剤ミスが起きやすい場面の多くは、複数の業務を同時に抱えているときです。
人は本来マルチタスクができず、作業を切り替えるたびに注意力は低下します。
だからこそ、頑張ってこなすより、発生させない工夫が重要です。
具体的には、以下の3つの対策がおすすめです。
- 一人対応の場合は同時進行せず、説明して同意を得たうえで一人ずつ対応
- 職員からの依頼には、「これが終わったら対応できます」と区切りを明確に伝達
- 自分以外で対応できる業務は、医療事務に依頼する(自分しかできないことに集中)
中にはどうしても難しい場面もありますが、避けられるマルチタスクを一つ減らすだけでも効果があります。
この対策をすることで、
- 一つの作業に集中でき、確認精度が上がる
- 頭の切り替えが減り、疲労感が軽くなる
- ヒヤリ・ハットが起きにくくなる
など様々なメリットがありますので、ぜひ実行してみてくださいね。
ヒヤリ・ハット日記|ミスの傾向を見える化する


調剤ミスを減らすためには、「起きたあとに反省する」だけでなく、傾向を把握することがとても大切です。
そこでおすすめなのが、ヒヤリ・ハット日記です。
やり方はシンプルで、その日に「ヒヤッとした瞬間」を一言で記録するだけ。
そして、時間があるときに、まとまった記録をもとに自分の傾向を分析してみましょう。
すると、
● 「忙しい時間帯に多い」
● 「特定の薬で起きやすい」
● 「疲れている日に集中している」
といった、自分のミスの傾向が見えてくるはずです。
個人の責任追及ではなく、再発防止のための材料として使うのがおすすめです。



もし店舗全体で事例が多い場合は、店舗単位で取り組むのもアリです!
類似薬の配置ルールを見直す


類似薬の配置見直しは仕組みだけでヒヤリ・ハットを大きく減らせる非常に効果的な対策です。



ある程度発言権がある立場なら、ぜひ検討したい方法です!
店舗の整備に手を入れることで、個人の注意力に頼らない安全対策が可能になります。
具体的には、
● 類似薬は、必ず1棚以上離して配置する
● 名称が似ている薬剤は、五十音棚を分ける
例:
- ノルバスク →「A」の棚
- ノルバデックス →「N」の棚
● 類似薬が存在する場合は、赤い付箋などで注意喚起
ただし棚の配置は店舗ごとに異なるため、職場に合った棚割りを検討してみてください。
ちなみに|上司への提案トーク例
このような店舗改善を進める時は、感情や気持ちじゃなく、数字で見せると良いですよ。
例を載せてみたので、ぜひ使ってみてくださいね。
「類似薬の取り違えによるヒヤリ・ハットが、月に○件発生しています。
配置を見直すだけで、ピッキングシステム導入などのコストをかけずに減らすことが可能になると思われます。
明日から実施可能ですが、ご相談させていただけませんか?」
辞めずに続けるなら|職場環境を変えるための具体的な進め方


環境要因が強いと感じたとき、いきなり「転職」ではなく、まずは異動を検討するという選択肢もあります。
ただし、



「もう限界です!」
「異動させてください!」
と感情だけで伝えても、通らないことが多いのが現実です。
異動を現実的な選択肢にするためには、
- 自分なりに状況を整理
- 事実と数字で説明する
この2点が大切です。
「自分がつらい」ではなく、「この環境が業務や安全にどんな影響を与えているか」という視点で伝えることが重要になります。
異動相談のための事前準備
まずは、感覚ではなく客観的な材料を集めます。
● ヒヤリ・ハットの件数や傾向
● 処方箋枚数や業務量の推移
● 類似薬配置など、構造的なリスク
● 自分なりに実施してきた対策と、その限界
など数字や業績でこたえられること中心に収集しましょう。
これらをもとに上司に話せば、ただ感情的に「異動したい!」と申し出るより、良い結果になる確率はぐんと上がりますよ。
- 自分でできることはすでに実施済み
- それでも尚、問題が解決しない
- 人員不足・人間関係といった環境要因
”事実”に基づいて説明でき、かつ”自分自身も納得”している状態を作ることです。
転職するなら知っておくべきこと|ミスが怖くない職場の見極め方


ここまで、調剤ミスの原因整理や対策を紹介してきました。
それでも「何をしても状況が変わらない」と感じるなら、原因は個人ではなく環境にある可能性が高いです。
これらは個人の努力だけでは変えにくく、
- 異動が難しい
- 相談できる雰囲気がない
場合は、転職を視野に入れても問題ありません。
環境を変えることは逃げではなく、安全に働き続けるための合理的な判断です。
ミスが起きにくい職場の共通点
調剤ミスの不安から抜け出すには、「仕組みと文化」が整った職場を選ぶことが重要です。
- 調剤監査システムがある
- 1人あたりの処方箋枚数に上限がある(30〜40枚/日)
- 休憩が確保されている
- ヒヤリ・ハットを共有できる
- ミスを責めず改善する文化がある
- 疑義照会しやすい雰囲気がある
などが共通点ですが、これらは求人票にはほとんど書かれていません。
見極め方は「職場の内情」を聞くこと
そこで役立つのが転職エージェントへの相談です。
エージェントは、
- 実際の処方箋枚数
- 調剤監査システムの有無
- 離職率や人間関係
- 残業の実態
- おすすめできない薬局の情報
などの求人票に載らない次の情報を把握していることが多いです。



私自身も条件を伝えたことで、リアルな内情を知れた経験があります
私は情報収集目的で利用しましたが、無理に転職を勧められることはありませんでした。
情報収集が目的の場合は「マイナビ薬剤師」や「ファルマスタッフ」のような薬剤師特化のエージェントがおすすめです。
それでも辞められないあなたへ|心のケアとセルフメンテナンス


環境を変えたほうがいいと分かっていても、今すぐ辞められない人は少なくありません。



それは弱さではなく、状況による自然な判断です。
大切なことは、調剤ミスの多くは個人の能力ではなく環境や状況が重なった結果だということ。
なので自分を責め続け、心を消耗させる必要は一切ありません。
そんな時には、仕事から少し距離を取る時間を意識的に作りましょう。
● 仕事と関係のない人と話す
● 別のことに集中する
など頭を休める時間が回復につながります。
もしも、
● 眠れない
● 動悸がする
● 感情が不安定になる
などの状態が続くなら、それは限界のサイン。
我慢せず、医療機関や相談窓口を頼ってください。



あなた自身を守ることを最優先にしてくださいね
よくある質問(FAQ)
ここからは調剤ミスが起こってしまった時のよくある悩み・質問に回答していきます。
- 調剤ミスをしてしまったら、やっぱり薬剤師に向いていないのでしょうか?
- 一度大きなミスをすると、ずっと引きずってしまいます。どうすればいいですか?
- 職場環境が原因だと思いますが、我慢するしかないのでしょうか?
- 今すぐ辞める勇気がありません。それでも大丈夫ですか?
- 誰にも相談できず、心身が限界に近い気がします。
- 調剤ミスがトラウマになって、調剤台に立つのが怖いです
- 周りの薬剤師は平気そうなのに、自分だけ弱い気がします
- 管理薬剤師や先輩に相談すると評価が下がりそうで怖いです
- 家族や周囲に「辞めたい」と言えずに苦しいです
- 今はまだ大丈夫ですが、将来またミスが怖くなる気がします
- 調剤ミスをしてしまったら、やっぱり薬剤師に向いていないのでしょうか?
-
いいえ、向いていないと断定する根拠にはなりません。
調剤ミスは、経験年数や能力に関係なく起こり得ます。
多くの場合、原因は人手不足・業務過多・環境要因が重なった結果です。
ミスを振り返り、対策を考えている時点で、あなたは十分に誠実な薬剤師です。
- 一度大きなミスをすると、ずっと引きずってしまいます。どうすればいいですか?
-
引きずるのは自然な反応です。無理に忘れようとしなくて大丈夫です。
時間が経つことで、感情と事実を分けて考えられるようになります。
今は「安全に働き続けるために何が必要か」に意識を向けてください。
必要であれば、信頼できる人や専門家に話すことも大切です。
- 職場環境が原因だと思いますが、我慢するしかないのでしょうか?
-
我慢し続ける必要はありません。
個人でできる対策にも限界があります。
異動の相談や、転職も含めた「環境を変える選択」は、
逃げではなく安全のための合理的な判断です。
- 今すぐ辞める勇気がありません。それでも大丈夫ですか?
-
もちろん大丈夫です。
今すぐ辞めなくても、
・情報収集をする
・相談先を持つ
・選択肢を知るそれだけでも、心の負担は軽くなります。
「今は辞めない」という選択も、立派な判断です。
- 誰にも相談できず、心身が限界に近い気がします。
-
一人で抱え込まないでください。
眠れない、動悸がする、涙が出るなどの状態が続く場合は、
医療機関や専門窓口を頼ることも大切です。
助けを求めることは、弱さではありません。
- 調剤ミスがトラウマになって、調剤台に立つのが怖いです
-
それは珍しいことではありません。
強い不安や恐怖が残るのは、命に関わる仕事だからこその反応です。
無理に「慣れよう」とせず、
・作業を細かく分ける
・確認ルールを固定化する
など、安心できる手順を作ることが回復につながります。
それでも恐怖が強い場合は、環境を変える選択も正当です。
- 周りの薬剤師は平気そうなのに、自分だけ弱い気がします
-
多くの人は「平気なふり」をしているだけです。
調剤ミスの不安やプレッシャーは、表に出しにくいものです。
実際には、多くの薬剤師が同じ悩みを抱えています。
感じやすさは能力差ではなく、性格や責任感の強さの違いです。
- 管理薬剤師や先輩に相談すると評価が下がりそうで怖いです
-
その不安がある時点で、職場文化に問題がある可能性があります。
安全な職場では、
相談や疑問提起が「評価を下げる行為」になることはありません。
相談できない環境自体が、ミスを増やす要因になります。
- 家族や周囲に「辞めたい」と言えずに苦しいです
-
理解されにくい悩みだからこそ、言葉にする相手を選んでください。
すべての人に分かってもらう必要はありません。
同業者、転職エージェント、専門窓口など、
状況を理解できる人に話すだけでも心は軽くなります。
- 今はまだ大丈夫ですが、将来またミスが怖くなる気がします
-
だからこそ「選択肢」を持っておくことが大切です。
・異動
・転職
・別のキャリア
を「いつでも取れる」と知っているだけで、
不安は大きく下がります。
安心感は、準備から生まれます。
まとめ|調剤ミスで悩むあなたは、間違っていない
調剤ミスで悩み、



「自分が悪いのではないか」
「向いていないのではないか」
そう感じてしまうのは、とても自然なことです。
大切なのは、自分を責め続けることではなく、「今の環境で、安全に働き続けられるか」を冷静に見極めること。
● 自分でできる対策を試す
● 職場に改善を提案する
● 異動や転職という選択肢も持つ
どれを選んでも、逃げではありません。
ここまで悩み、考え、向き合ってきたあなたは、
すでに十分、薬剤師として責任を果たしています。



あなたの選んだ道がどれであれ、良い結果になることを祈っています
